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保釈保証金の減額変更を求める準抗告が認容された事例

  1. ■事案の概要
  2. ※プライバシー保護のため事案を抽象化しています。
    起訴、勾留されたXさんの弁護人となった担当弁護士は、勾留の裁判に対する不服の申立て(準抗告及び特別抗告。後にいずれも棄却)と並行して、Xさんの保釈を請求しました。
    担当裁判官は、Xさんの保釈は認めるべきであるものの、相当な保釈保証金の額は200万円であると述べていました。
    担当弁護士は、Xさんの資産等を考慮した場合、相当な保証金の額は150万円を超えない旨を裁判官に伝えました。しかし、裁判官は、逃亡等を行わない旨の誓約書がXさんから提出されていないことを指摘し、この額を200万円未満に下げることはできないとの立場を変えませんでした。
    結局、Xさんは、ご家族に200万円を調達していただき、保証金の額を200万円と定める保釈の裁判を得てこれを納付し、釈放されることになりました。

  3. ■保釈保証金額の決定基準と、保釈金額の変更を求める準抗告
  4. 保証金の額は、「犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない」とされています(刑事訴訟法93条2項)。そして、Xさんのような属性の方の場合、この金額は150万円が相場であり、ご本人の誓約書がないことでこれを50万円も増額することは相当でないと考えられました。
    そこで、担当弁護士は、保釈されたXさんから誓約書を取り付け、保証金額の減額変更を求める準抗告を申し立てました。保証金額を定める裁判は「保釈……に関する裁判」として準抗告の対象となり(刑事訴訟法429条1項2号)、この準抗告は、保証金を納付して被告人の身体が解放された後であっても行い得るとされています(東京地決H6.3.29判タ867-302)。

  5. ■結果
  6. 「主文 原裁判中保証金額の部分を取り消す。保証金額は金150万円とする。」

  7. ■この事案のポイント
  8. この事案では、保釈のための保証金として調達し、裁判所に納付する金額が150万円であるか、200万円であるかは、(保証金はいずれ還付される可能性が高いとはいえ)Xさんとそのご家族にとって大きな問題でした。担当弁護士としては、保証金の額を200万円とする保釈の裁判に対する準抗告を直ちに申し立て、減額を図ることも考えられました。
    しかし、そのような手段を取った場合、Xさんの釈放が遅れるおそれがありました。そのため、ご家族にはいったん200万円を調達していただき、保釈の裁判が執行された後にこれに対する準抗告を申し立てたものです。
    差額の50万円は、保証金額を減額する準抗告決定がされた後、ほどなく、還付されました。

  9. ■おわりに
  10. 被疑者・被告人を身体拘束から早期に解放することは、刑事弁護人の重要な役割の一つです。
    勾留を阻止するために、やってもいない被疑事実を認めることは、あってはならないことですが、被疑者・被告人となった方に有利な方法で、一日も早く、身体拘束からの解放を図ることは可能なことがあります。
    ご自身や関係者が捜査の対象とされたり、身体を拘束されたりして悩まれているときは、一度、ご相談をご検討ください。
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